いかがお過ごしですか。三川栄二です。
今年3月に起きた東日本大震災の直後、宮城県にあるいくつかの教会を訪問しました。わたしは、それらの教会を励ますために行ったわけですが、実際は逆にわたし自身が励まされて帰ってきました。
仙台の南側にある山元地区を訪れたときのことです。そこは津波の被害に見舞われて、一面ががれきの山となっていました。わたしは言葉も出せず、ただ立ち尽くすばかりでしたが、JR山下駅のすぐ前にあるパン屋を案内されました。それは、昨年冬に洗礼を受けたばかりの兄弟が始めたパン屋さんでしたが、中は津波の被害でめちゃくちゃになっていました。しかしそこで、その方から仙台に持っていってほしいと手渡されたものがありました。それは彼が焼いたパンで、別のパン屋さんの釜を借りて焼いたもので、それを仙台の人々に渡してほしいと頼まれたのです。
わたしも仙台に向かう途中そのパンをいただきましたが、食べながら涙が出てきました。そこには、自分自身が悲惨な状況にありながら、それでももっと大変な状況にある人々を覚え、その人たちを助けたいと立ちあがったその方の熱い思いを覚えさせられたからです。そして「受けるより与える方が幸いである」という主イエスの教えを、文字通り実践している信仰者の姿を見て、心揺さぶられる思いがしました。
「受けるより与える方が幸いである」そのことを心に覚えて、わたしたちもそれを実践する一日でありたいと思います。