いかがお過ごしですか。ラジオ牧師の山下正雄です。
イエス・キリストが死者の中からよみがえって、弟子たちにその姿を現した時の話です。ユダヤ人たちを恐れて部屋に閉じこもっていた弟子たちに、キリストがかけた言葉はこうでした。
「あなたがたに平和があるように」
実はこの翻訳に異議を唱える人たちがいます。というのは、この「あなたがたに平和があるように」という言葉は、まさにユダヤ人たちの普通のあいさつの言葉だからです。従って、「やあ」とか「こんにちは」とあいさつの言葉として意訳すべきだというのです。
しかし、この話の文脈から言うと、恐れを抱いていた弟子たちにかけた言葉ですから、ユダヤ的なあいさつの言葉が持っている本来の意味が込められているとも取れます。イエス・キリストはただ弟子たちにいつもどおりのあいさつの言葉をかけたのではなく、文字通り、神の平和が恐れを抱く弟子たちの上に留まることを願ったということです。
確かに「平和があるように」、「シャローム」という言葉は、あいさつの言葉ですが、もとをたどっていくと、大祭司が民を祝福する言葉の中にも出てきます。主である神こそ平和の源です。神が平和を賜るところにこそ、恐れと不安とが消えさり、平安が心を支配します。心に平安が宿ってこそ、争いの火もその力を失うのです。
今日の言葉…「主が御顔をあなたに向けて、あなたに平安を賜るように」民数記6章26節