いかがお過ごしですか。新座志木教会の杉山です。
新約聖書の福音書には、主イエスが弟子たちに出会うというところがあります。その出来事は、かなりシンプルに描かれております。
例えば、後にペテロと呼ばれることになりますシモンと、その兄弟が漁をしておりますところを、主イエスが訪れて「私に従いなさい」と言いますと、二人は網をそこに残して従った、というようにです。いささかあっけなく、また唐突な感じがしますが、これが事実です。
けれども、この点につきまして、ルカによる福音書では、もう少し丁寧な描き方がされております。そこでは、大漁の奇跡がおきます。一晩中漁をしたにもかかわらず、全く魚の取れなったシモンたちに向かって、網をおろしなさいと言われます。そこで、しぶしぶ網をおろしましたところ、大漁になります。
しかし、その時に、シモンたちの心に起こったのは、ただ目の前の奇跡に驚くということではなかったようです。
彼はこのように言っています。「主よ、私から離れてください。私は罪深いものなのです」。
それまで、シモンは、イエスを「先生」と呼んでいました。しかし、この時、普通は神様に向かって使われる「主よ」という呼びかけをしています。しかも、「私は罪深いのです」という意識が生まれています。
一瞬の心の変化によって、それまで何とも思っていなかった人の前に立つことが憚られる。イエスが、主イエスとなる出会いがあったのです。