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おはようございます。南与力町教会の坂尾連太郎です。今月はイエス様が宣べ伝えた「神の国」とはどういうものであったのかを聖書から学んでいます。
今朝はルカによる福音書11章20節に記されているイエス様の言葉に注目したいと思います。次のような言葉です。「しかし、わたしが神の指で悪霊を追い出しているのであれば、神の国はあなたたちのところに来ているのだ。」
イエス様は「神の指」によって、この「神の指」というのは、マタイによる福音書の並行箇所(マタイ12:28)では「神の霊」と言われています。イエス様は「神の指」、あるいは「神の霊」によって悪霊を追い出しておられました。そしてそうであるならば「神の国はあなたたちのところに来ているのだ」、このようにイエス様は宣言されたのです。
イエス様がこの言葉を語られたのは「ベルゼブル論争」と呼ばれる論争においてです(ルカ11:14-23参照)。イエス様が悪霊を追い出したことによって、口の利けなかった人がものを言えるようになりました。それを見ていた人々は驚きました。しかし中には「あの男は悪霊の頭ベルゼブルの力で悪霊を追い出している。」、そのようにイエス様の悪口を言う人々もいたのです。ベルゼブルとは「家の主人」を意味する言葉で、悪霊の親分と考えられていました。イエス様を批判する人々は「イエスは悪霊を追い出しているが、それは悪霊の親分の力、ベルゼブルの力を使っているのだ。あいつは暗闇の勢力とつながっている。」、このように批判をしたのです。
それに対してイエス様は次のように反論しました。「内輪で争えば、どんな国でも荒れ果て、家は重なり合って倒れてしまう。あなたたちは、わたしがベルゼブルの力で悪霊を追い出していると言うけれども、サタンが内輪もめすれば、どうしてその国は成り立って行くだろうか。」(ルカ11:17-18)
このようにイエス様は彼らの主張が不合理で、あり得ないことだと反論されたのです。そしてイエス様はご自分がベルゼブルの力ではなく、「神の指」の働きによって悪霊を追い出していると主張されました。そしてそうであるなら、すでに「神の国、神のご支配」は「あなたたちのところに来ているのだ」、このように宣言されたのです。
さらに次のように言われました。「強い人が武装して自分の屋敷を守っているときには、その持ち物は安全である。しかし、もっと強い者が襲って来てこの人に勝つと、頼みの武具をすべて奪い取り、分捕り品を分配する。わたしに味方しない者はわたしに敵対し、わたしと一緒に集めない者は散らしている。」(ルカ11:21-23)
最初に出てくる「強い人」とは「ベルゼブル」すなわち「サタン」のことです。サタンが武装して自分の屋敷を守っている間は、サタンの持ち物は安全です。この「サタンの持ち物」とはサタンが支配し、所有している人間を指しています。しかし「もっと強い者」、すなわちイエス・キリストが来ると、そのサタンに打ち勝ちます。そしてサタンがより頼んでいたすべての武具を奪い取り、サタンからの「分捕り品」を分配することになる。すなわちサタンが支配し所有していた人間を、イエス・キリストは奪い取り解放するのです。このようにイエス様はサタンの力で悪霊を追い出すどころか、むしろサタンに打ち勝ち、サタンの支配下にあった人々を救い出しておられたのです。
私たち人間は神様から離れ、サタンの支配下に生きる者となってしまいました。もちろん多くの人はそのように考えていないでしょう。自分は自分の思うように自由に生きていると思っています。しかし実は私たちは皆サタンの支配下にあり、神とキリストに敵対し、罪と過ちを犯して歩んでいたのです。しかしイエス・キリストはそういう私たちを「神の指」の働きによって救い出し、神のもとに集めるために来てくださいました。イエス様はそのような神の指の働きを地上において実行していかれたのです。その意味で「神の国は既にあなたがたのところに来ている」とイエス様は言われました。
私たちはそのような「神の国」を信じ、受け入れる必要があります。そうすることによって、私たちもまた神の御力によってサタンの支配から解放され、神様のもとに立ち帰ることができるのです。そしてそのようにして救われた者は、サタンの支配下にある人々を集めるという神の国の働きをイエス様と共にしていくよう招かれています。
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