申成日（広島教会牧師）

メッセージ： 聖誕を待つ人々3（洗礼者ヨハネ）

【高知放送】
　　　　　

【南海放送】
　　　　　

　おはようございます。広島教会の牧師、申です。
　いよいよクリスマスが近づきましたが、今日はこのシリーズの三つ目として、洗礼者ヨハネについてお話させていただきます。

　ヨハネの父親は、ザカリアという名前で、ユダヤの祭司です。そして、彼の妻エリサベトもアロン家の娘、つまり祭司の娘です。この二人がどんな人であったのかについて、聖書は、「神の前に正しい人で、主の掟と定めをすべて守り、非のうちどころがなかった。」（ルカ1:6）と伝えています。

　エリサベトは不妊の女でした。そして、子どもなしに年をとっていたのです。そのような二人に、天使による受胎告知がなされます。天使は、生まれてくる子について、次のように言いました。「その子はあなたにとって喜びとなり、楽しみとなる。多くの人もその誕生を喜ぶ。彼は主の御前に偉大な人になり、ぶどう酒や強い酒を飲まず、既に母の胎にいるときから聖霊に満たされていて、イスラエルの多くの子らをその神である主のもとに立ち帰らせる。彼はエリヤの霊と力で主に先立って行き、父の心を子に向けさせ、逆らう者に正しい人の分別を持たせて、準備のできた民を主のために用意する。」（ルカ1:14-17）

　天使はなぜ、このようなことを言ったでしょうか。実は、当時の社会は、家庭が崩壊し、分裂してしまったような社会でした。また、多くのユダヤ人は、神から離れた生活をしていました。特に、宗教的な指導者が、内的な信仰よりも、形式的な宗教的儀式だけを強調し、真の神から離れていたのです。

　ヨハネはイエスより半年ほど先に生まれますが、大きく成長すると、当時の祭司たち、宗教的な指導者たちの教えを厳しく批判し、悔い改めを大胆に語りました。また、彼は、それだけではなく、ユダヤの王であるヘロデにも、命をおしまなくその悪事を責めたのです。そして、イエス・キリストも、洗礼者ヨハネについて、「『見よ、わたしはあなたより先に使者を遣わし、あなたの前に道を準備させよう』と書いてあるのは、この人のことだ。」（マタイ11:10）と言い、洗礼者ヨハネの存在を、そして、彼の働きを認めました。

　洗礼者ヨハネは、天使の予告通り、その生涯をかけて殉教するまで、イスラエルの人々が悔い改めて神の前に立ち帰るように働きました。そして、その働きは、イエス・キリストにおける神の御業の準備でもありました。

　わたしたちは、クリスマスを迎えようとしています。クリスマスは、キリストの誕生を記念する日です。イエス・キリストが生まれる前に、ヨハネは、そのキリストの道を整えるために遣わされたように、今は、わたしたちが、その道を整える者として遣わされています。

　そしてそれは、子を父に立ち帰らせることであり、父が子に心を向けることであります。皆さんのお子さんは大丈夫でしょうか。そのお子さんの心の中に、お父さんは存在しているでしょうか。そして、父なる神様も存在しているでしょうか。また皆さん自身はいかがでしょうか。皆さんの心の中の神様は、どんな存在なのでしょうか。父なる神様が、しっかりと皆さんの心の中にいらっしゃるでしょうか。

　いよいよ、クリスマスが近づいてきてます。皆さん、この時期には、いつもイエス様より先に遣わされたヨハネを覚えてください。そして、彼はなぜ遣わされのか思い出してください。わたしたちは、ヨハネがそうしたように、キリストの御業を待ち望みながら、その道を備える者になりたいと願います。神様は、わたしたちに家族というすばらしいプレゼントを与えてくださいました。その家族が一つになり、キリストの誕生を迎える、そのようなクリスマスになりたいと願います。