長谷川はるひ（新潟教会牧師）

メッセージ： 役立つ者

　いかがお過ごしですか。新潟教会牧師、長谷川はるひです。
　今週は、新約聖書にある「フィレモンへの手紙」についてお話しています。

　手紙の差出人パウロは、宛先であるフィレモンに、かつてフィレモンの元から逃げ出した奴隷オネシモを送り返します。この手紙には、オネシモは、以前はフィレモンにとって役に立たない者でしたが、今はフィレモンにもパウロにも役立つ者となっていると、書かれています。

　どんなふうに役に立たない者だったかについては、書かれていません。逃げ出してしまったという事実と、フィレモンに損害を与えたかも知れない、負債があるかも知れないという疑いしか、情報はありません。

　一方、どんな風に役立つ者であるかについては、パウロが自分の元に引き止めて、フィレモンの代わりに仕えてもらってもよいと思ったくらい役立つ者である、と書かれています。ずっと自分の傍で働いてもらいたい、それくらいオネシモは、役立つ者となりました。

　この手紙は、オネシモをフィレモンへ送り返す手紙ですが、実は、もう一度パウロの元にオネシモを送り返してもらいたい、というのがこの手紙の本音だと、読み取る人もいるくらいです。それほどまでに、オネシモは、役に立たない者から役立つ者に変えられたのです。

　それは、オネシモがイエス・キリストに出会ったからでした。イエスに出会って、イエスによって変えられ、オネシモは、役立つ者となったのです。