【高知放送】
【南海放送】
「キリストへの時間」をお聞きの皆さん、おはようございます。忠海教会牧師、唐見です。
前回この番組でお話をしたのが、ほぼ半年前の6月でした。近づく夏を前にして、今年の夏はどれくらい暑くなるのかと思っていました。案の定といいますか、日本各地で最高気温、平均気温を更新する猛暑の夏となりました。暑さはあまり気にならなくて、どちらかというと好きな方ですが、さすがに連日、熱中症警戒アラートが出されるような暑さにはうんざりします。地球温暖化が進む中、記録更新は今後も続くだろうと多くの専門家が予想していますが、来年の夏はどうなるのでしょうか。
11月に入った今、別段暑さを感じることはありません。しかし、先日ニュースで報道されていたのですが、実は秋になっても、さらに言えば冬でも、熱中症は発生するのだそうです。熱中症といえば、真夏に起きるものというイメージがあります。しかし熱中症は、単純に暑いから、たとえば炎天下に長時間いるから起きる、というわけではありません。
意外なことに、真冬にも熱中症のリスクがあり、そのひとつは、空気の乾燥です。一般に、冬の方が空気は乾燥します。エアコンなどの暖房器具を常時使用している環境では、さらに乾燥します。乾燥した空気は、皮膚や気道粘膜などから水分を奪っていきます。
もうひとつのリスクは、水分を十分に摂取しないことです。冬は、のどの渇きを感じにくく、水分を摂取しない傾向があります。それで自覚症状のないまま、脱水症状になっているケースがあるのだそうです。いわゆる「かくれ脱水」の状態ですね。本人は大丈夫だと思っていても、実はそうではないというのは、怖いですね。
さて、聖書は、からだと同じように、こころが知らないうちに渇いてしまうこと、そして、その対策法について教えています。ヨハネ福音書の「サマリアの女」の場面です。ある日の正午ごろ、イエス・キリストは、ユダヤからガリラヤへ向かう途中、シカルというサマリアの町に来られました。そこには、イサクの息子、アブラハムの孫であるヤコブの名がつけられた井戸がありました。
ちょうどそのとき、サマリア人の女性が水を汲みに来ており、イエスは、彼女に「水を飲ませてください」(ヨハネ4:7)と言われました。このことは、当時の社会状況、慣習を考えると非常に稀なことでした。その頃、ユダヤ人とサマリア人の関係は険悪で、両者は交際しないような状況だったからです。そこで、サマリア人の女性は、「ユダヤ人のあなたがサマリアの女のわたしに、どうして水を飲ませてほしいと頼むのですか」(ヨハネ4:9)とたずねます。
このようにして始まった井戸水をめぐる会話は、異なる水の話へと変わっていきます。のどの渇きをいやす水から、魂の渇きをいやす命の水へ。イエスは、次のように語られました。「この水を飲む者はだれでもまた渇く。しかし、わたしが与える水を飲む者は決して渇かない。わたしが与える水はその人の内で泉となり、永遠の命に至る水がわき出る。」(ヨハネ4:13-14)
このイエスの言葉は、さらに数百年前に預言されていた旧約聖書の言葉でもありました。「主は常にあなたを導き 焼けつく地であなたの渇きをいやし 骨に力を与えてくださる。あなたは潤された園、水の涸れない泉となる。」(イザヤ58:11)
イエスが話しかけられたサマリア人の女性には、かつて五人の夫がいて、現在は別の内縁の夫と暮らしていました。彼女自身、どれほど自覚していたのかはわかりませんが、満たされない思いを抱えながら生きていたことに間違いはありません。日中の暑い時間帯に、女性が一人で井戸水を汲みに来ているのは、コミュニティの中で彼女が孤立していたからだと考えられます。イエスにそのことを言い当てられた彼女は、この方こそ、わたしのこころの渇きを癒してくださる救い主だと知るのです。
聖書が語るまことの神は、サマリアの女を癒した、決して渇くことのない水を、誰にでも、惜しみなく与えてくださいます。あなたに必要なことは、ただイエス・キリストを救い主と信じる信仰だけです。